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小説です・w・ 




 昼近くになり、何度も何かを打ち付ける音がしていた。城門を見ると、破(は)城(じょう)槌(つい)を持った者達が城門を叩いていた。 ここを破られれば終わる……何とかバリケードを作って対応してきたが、それも適わない状態になっていた。
 それでも熱湯をかけたり油を撒いたりと色んな抵抗をしてきたが、士気の上がった彼らには到底適うものではなかった。
 残った面々は扉の前に集結している。
「ここが破られたら終わりだ! 俺達は何としても死守しなくてはならない。その命をもってしても……」
 クリスは門を悔しそうに見ながら、アートオブバトルアックスを握っていた。
「最後の戦いになる……みんな、腹据えろよ」
「できるだけ多くの奴等を道ずれにするさ」
 クリスのクランのもう一人のブレードダンサーである、ジダークは二刀の愛刀を構えている。
「じゃあ、俺は出来るだけ多くの姉ちゃんを道ずれに~ウハハハハハ」
 アイファルの下品な言葉に隣の同じクランのウォークライヤーであるオークの女性、チャジャルが拳で叩いていた。
「お・げ・ひ・ん」
 クリスのクランのビショップの男性、ヤキールが溜息混じりに呟いた。
「下品で結構!」
「雷落ちないように気をつけろ……」
 同盟のエルフの盟主エルダーのドミットが言っていると……
「俺も、お姉ちゃんがいいな~」
 と言っている人物がいた。
「……レック……」
 といわれたダークアベンジャーの同盟の盟主レックはにやりと笑っている。
「え? だってムサイ男より、お姉ちゃんのほうがいいんだもん~」
 隣の盟主であるラクームに手を置いて、同意を求めていた。
「バカ、二人……」
 アルギニウスが溜息混じりに言っていると、抗議が始まっている。
 だが、ビスキーとダークエルフの女性の召喚獣が、みんなを黙らせていた。
「うちの同盟の士気どうなってるのかしら……」
 召喚獣を自分の隣に立たせて、アフィロが溜息をついている。
「まあ、いいじゃないか? それだけの余裕があると思えば……」
 ハミルが微笑んでみんなを見ると、みんなは武器を構える。
「そろそろ、来るわよ……」
 補助を始めたクリスのクランのシリエンエルダー、ソナエリアが毅然とした顔を見せていた。
「俺の疾風を、お見舞いしてやる……」
 マークスは不敵な笑みを浮かべて杖を構えている。
「勝ったら祝い酒だ!」
 グフカロフは拳を上げると、双子とメイシェルとメネウトが同じ様に拳を上げていた。
「まだ飲むのかよ……」
 クリスが呆れていると、オークの男性は頷いていたのだ。
「勝利の美酒に酔いしれるのは、勝者の特権であるからのう~」
「向かい酒だ!」
 アイファルがなぜか同参してくる。
「終わったら飲むぜー!」
「俺はひとまず眠りたい……」
 クリスは窓から見える晴れた空を睨んでいた。襲撃から殆ど寝ていないのだ。普通なら体に支障が出てもおかしくない。しかし、神経が昂っている為にそんな様子はなかったのだ。
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小説更新でしー 





 霧の深い中、馬の蹄が響いていた。荷馬車は橋を渡り目的のところに行こうとした矢先、その足を止めている。
 御者(ぎょしゃ)はいくら鞭打ってもびくともしない馬達に困惑していると、急に馬達は川の方に歩き出した。
 その霧の中でもその黄金の髪は、御者でも確認することが出来た。馬達は鼻でつついたりしていると、やがてその人物は声を上げて意識を取り戻す。
 そこには若いエルフの少女がいた。彼女は傷だらけの顔を馬に向けると、起してくれてありがとうと言っている。
「あんた……大丈夫か?」
 御者が声をかけると、少女は痛みを堪えて起き上がっていた。
「ここは……?」
「フローラン村の近くの川だよ……一体どうして……」
 と、話の途中で御者の言葉が途絶えてしまった。橋には死体らしきものが、何体も引っかかっていたから――
「ヒイイ!」
 更に上流に目を向けると、霧の中からおびただしい死体が浮かんでいるではないか……
 少女は立ち上がると、おぼつかない足取りで御者に歩いてきていた。
「済みません……ディオン城に連れて行って下さい! グルーディオ城が襲撃にあって……」
 恐怖で我を忘れている御者は慌てていると、そこから逃げ出そうとしていた。
「待ってください! 私をディオン城に!」
 流れている時にどこか打ち付けていたのだろうか、体中が悲鳴を上げていた。
「仲間を助けないと!」
 倒れそうになる少女を、馬達が体を支えてくれていた。
「ありがとう……」
「あんた……動物と話せるのかね……?」
 恐怖よりそちらの事に興味が行くと、彼女は痛みを堪えて頷いている。
 御者は多分馬達がディオンまで持たないと考えて、一様フローランまで馬を飛ばしていた。少女は痛みを堪えながら御者の隣に座っていると、案の定馬達は呼吸を乱していたのだ。
「こいつら歳だから……勘弁してくれ。フローランで馬を借りて行ってくれ。ストライダーなんて高価で高速なもんじゃないが、今のあんたと比べたら十分だろうから」
「ありがとうございます」
 フローランに着いた一行は話を聞いた人が馬を貸してくれていた。一人ではとても乗れないだろうという事で、村一番の馬乗りが彼女の乗せて走ってくれたのだ。
 兵士達に支えられて少女は城内に入っていた。
 朝靄の中、異変を聞きつけて城主は叩き起こされていた。良く太った恰幅のいい人間の男性だった。眠い目をこすって状況を聞いていたが、相手にされなかったのだ。
 グルーディオの城勤めのクランには、少女はいないという理由だった。
「お願いします! すぐに援軍を派遣してください!」
 立っていられずに座り込んでいる少女に、城主は非情にも耳を傾けていなかった。
 すると、城務めのエルフが召集で駆けつけて、彼女にヒールを施していた。
「この者の言っていることは本当です。嘘偽り無い瞳です。すぐに援軍の派遣を……」
「しかしだな……」
 城主が言葉を濁した。
「グルーディオが襲撃されたとあれば、次にこちらに来るのも時間の問題かと……」
 エルフの男性は、きつい目を城主に投げかけていた。
「状況を把握せぬ限り、無駄に兵力を割くわけにも行かぬ……最初は調査の為に斥候を向かわせよう……」
 それを聞くと、エルフの男性は会釈をしていた。そして、少女に柔らかい笑みを浮かべた。
「君は休んだ方がいい。体中満身創痍ではないか……」
「いえ……この事をオーレンにも伝えないと……」
「いや……時間的に間に合わないかもしれない――近いのはギランしかないが、動いてくれるだろうか……」
「ギランには知り合いがいます。頼めるかわかりませんが、行かないと……」
 立ち上がる少女を、男性は支えてやった。
「君は無茶をするのが、好きみたいだね……」
「みんなが戦っているのに、私だけ休む事なんて出来ませんから……」
「カーディエン様が目にかけるのも、分かる気がするよ……」
「マスターカーディエン様ですか?」
「ああ、一目見て聞かされていた特徴と類似していたからね……キリアと言ったかな?」
「はい」
「カーディエン様は君の事を良く話していた。あの方が気にかけているみたいだ」
「そうなのですか?」
「ああ……ギランには私も同行しよう。知り合いがいるわけではないが、ディオンの代表として説得は出来る」
「ありがとうございます」
 少女は、力なく微笑んでいた。
「それに、花のエルフには以前お世話になった事があるのでね――エヴァの戦士であり尊い御方だ……」
「セラフィウムさんですか?」
「いや……フィエル様だよ」
「フィエル……」
 その言葉に、思い当たる節はなかったようだ。
「まあ、今はその話はよそう。ギランに行かねば……」
「はい!」

 朝靄の中、同仕打ちを避けるために一時戦闘は中断されていた。みんなは憔悴しきった顔をして、休息をとっていた。
 レイルースは、キリアのことが心配だった。あの高さから人間が落ちたらどうなるかわからなかったが、アルギニウスの話ではエルフは高いところから飛び降りても平気だと言う。
「キリアちゃん……」
 男性は神に祈っていた。好きな少女が生きている事を祈りながら……
 それを聞いたみんなは俯いていた。あれから数時間が経過しようとしている。だが、援軍も来ないのだ。
「それにしても……」
 メイシェルの瞳がアルギニウスを睨んでいる。
「何でキリアにキスしたのよ」
 それにみんなの瞳がダークエルフの男性に注がれた。
 彼は瞳を閉じたまま、ほくそ笑んでいる。
「あいつ平手打ちでも力緩めなかったからな……痛み与えてもどんなことしても離れなかったと思ったから、別な事してみただけだ」
「で……効果あったようだな……」
 メネウトがウンザリしていると、喉の奥から嫌味な笑い声がしてきた。
「唇合わせただけじゃ離れなかったから、舌入れてやったよ」
 それにみんなは驚愕している。
「まあ、驚いて離れてくれたから、良かったけどな。あいつ意外と物動じしない……」
 急に胸倉掴まれる感覚で目を開くと、涙目になっている男性がいたのだ。
「おおおおおお前なー!ききき……キリアちゃんに何てことを!!」
 レイルースを見て男性は「緊急事態だし、俺は専門外だ」と言っていた。
「別に、もしかしたら男の『お』の字も知らずに死ぬかもしれないんだったら、少しくらい教えてやっておいてもいいだろう……?」
「そんな風にするんだったら、俺がやればよかった……!」
「俺も、熱い抱擁をしておきたかった……」
 レイルースとメネウトにメイシェルのど突きが……まあ、入れられる元気もなかったが……「こらこら」という声はしてきていた。
「お前等が束になっても、キリアは動かないだろう? せめておっさんが槍投げのごとく落とせば、済んだことだったんだがな……」
「キリア一人なら、軽いものだ」
 盟主は大きく胸を張っていた。
「逆に堀の外まで飛ばされそうな気がしたから、あえて言わなかったけどな」
「うむ、外といわず崖下の川に落とす自信はあったぞ」
「それこそキリア死ぬわよ」
 ヘクテメリアの言葉に、一同頷いている。
「援軍よこす為に落としたのに、死なれてはのう……」
「そうだのう……」
 双子も流石に今は製作を中断していた。
 朝靄が段々晴れてくるのを見ながら男性は空を見上げていた。
「……まあ、生きてはいないと思うがな……」
 それにみんなが反応する。
「そんな!」
「嘘だろ?」
「……この川の途中は流れが急になるんだ……そして、深くなる……エルフでも生きていられるかどうか……」
 その言葉にみんなは愕然とした。もし、彼女が生きていなければ自分達も……
「まあ、あいつのことだ。しぶとく生きているかもしれないがな……俺はこの戦場で汚く死んで欲しくなかったから堀に落とした。せめて、水でふやけながらも傷のない奇麗な姿のままでいてくれればいい……」
 レイルースは自分の体を見た。傷だらけで血が染み込んだ鎧を……確かに、兵士たちの死体の中には目も当てられないものもあった。それと比べたら、水の中で死んだほうがまだ幸せなのかとも思っていたのだ。
 だけど、自分の目で確認しない限り、彼女は生きていると信じたかった。溢れる涙を拭って意思の固い瞳をしていた。
「俺はキリアちゃんが生きていると信じる! そして、みんなで一緒にアジトに帰るんだ!」
 それにみんなは頷いていた。
「そうだ! みんなで祝杯挙げようぜ! 無礼講でキリアを暴れさせようぜ!」
 メネウトが気合を入れていると、横の方から声がする。
「待て待て、最初にグルーディオの酒を空かしてからだな……」
「おっさん二回飲むのかよ!」
 盟主の言葉にメネウトが驚いている。
「グルーディオに、伝説生むのやめてよね」
 ヘクテメリアが、呆れたようにしている。
「そうよ! 街歩けなくなるじゃない」
 メイシェルが女性に加勢していた。
 などと話しているうちに開戦の鐘が鳴り響く。
 長い戦いが再び始まとうろしていた――――
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え~小説~です!w 





 みんなは後方で矢や魔法で応戦するようになっていた。もう……最後の扉を壊されれば城内に侵入を許してしまう……それだけは避けなければならなかった。
 キリアは補充の為に走り回っている。他の人の矢やスピリットショットなどを運んでいた。目まぐるしい中、外では奇声が上がっている。
「もっと湯を沸かせ!」
 釜がいくつも炊かれた場所では、リレー形式でそれが運ばれていた。
「お湯をどうするのですか?」
 手には沢山の矢を抱えた少女が不思議な顔をして問うと、兵士の男性は冷やかな顔をしていた。
「敵にかけるんだよ……あの奇声聞こえるだろう?」
「そんな! 火傷しますよ!」
 そこでみんなの顔が少女に向けられた。彼女は不安な顔をしていると、みんなは当たり前の顔をしていた。
「矢や魔法ばかり使っていたら消耗が激しい――まだ熱湯の方が敵を威圧しやすいからな。そこに炎の魔法でもぶつければ、爆発が起こるし使いやすい……」
 マークスは冷たく微笑みながら少女を一瞥した。
「ですが……」
 少女の話の先を有無を言わさず他のダークエルフが遮った。
「これは戦争だ。火傷とか悠長なこと言っている暇はないんだ。エルフの偽善なんてここじゃ通用しないんだぞ」
「そんな……私は……」
「くだらないお膳立て並べるのもいい加減にしろよ。それともこれ以上の策があるって言うのか?」
 そこでキリアは黙ってしまった。確かに、戦争では奇麗事など通用するはずもない。混沌とした中、戦っているのだ。城を死守する為には、どんな手段も厭(いと)わない。しかし、彼女にはこんな戦いなど初めてなのだ。戸惑いもする……
「その辺にしておけ……城に所属していないクランの子だぞ。戦争体験もない子に俺達が当たり前な事を行き成り持ち出しても、戸惑うばかりだろう……」
 クリスは彼女に助け舟を出すと、自分の仕事をするように言う。
「済まないな……みんな気が立ってるんだ。大目に見てやってくれ……」
 肩を叩かれて少女は頷くと、走り出していた。
 そして、用事を済ませると、同じところにきたときに足を止めていた。
「私が言うのも変かと思いますが、皆さん聞いてください! 皆さんが敵だと思っている人は皆さんと同じ命を持っている人達です。同じ重さの魂を持っている人達です。どうか忘れないで下さい! こうなってしまったのは仕方ない事だと思ってます。ですが、無駄に命をとらないで下さい!」
 すると、すかさず反論が来た。
「あいつらが先にやってきたことだぞ! そんなことをいちいち考えて戦えるか!」
 キリアは真面目な顔をして毅然としていた。
「彼らが先にやって来たからといって同じことをしてしまえば、彼らと同じになってしまいます! 彼らにも家族がいるかもしれません。無駄に命を取られてしまえば、悲しみや憎しみを生むかもしれない……そうなってしまったら、その悲しみや憎しみは皆さんにも降りかかって来るかもしれません。憎しみは更に憎しみを呼び大いなる破壊に繋がるかもしれない……私が世界樹から受け継いだ歴史の中には多々そのような物がありました。……その場の雰囲気に飲まれるのではなく、皆さんの考えや志を持って戦ってください。それに、皆さんはグルーディオ領を守るクランの方達です。城を守る前に、皆さんには領民を護る務めがあります。彼らに城を取られてしまえば、領民の方も犠牲になります。どうかそれを忘れないで下さい……お願いします」
 少女はそう言うと、深く頭を下げていた。果たしてどれだけの人が聞いていてくれていたのだろうか……彼女はそれを確認する前に、自分の持ち場に戻って来る。
「……変な演説してたな……」
 彼女の姿を確認したダークエルフの男性は少女に冷やかな瞳を向けていた。
「お前らしいが、戦意を削ぐのはやめてくれ」
「戦意というか……反対に元気付けられたけどね……」
 レイルースはにこやかな顔をしていた。
「俺……戦争なんて初めてだったから、どうしていいか分からなかったけど、キリアちゃんの言葉を聞いて自分に戻れた気がする。 護るべき者の為に戦う……クランのみんなを守るために俺は全力を尽くすよ」
「そうね……今はそれを考えましょう」
メイシェルの言葉にみんなは頷いていたのだ。
「みんな誰一人かけることなく……」
レイルースは拳をみんなと軽く突き合わせていた。そして、戦場を見つめている。
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今年最初の小説投下~~ 




 だが、その抗議も途中で中断される事となってしまう。急に大きな音が聞こえてきたからだ。
 見ると、大きな機械のようなものが城壁を壊そうとしていた。
「何だあれ!」
 メネウトの言葉にムクハは声を上げた。
「シージーゴーレム!」
「攻城戦用のゴーレム出す金あるのか……」
 片割れのムクタは呆れたように声を出していた。
 聞くと、動かすのに結構なお金がいるという……
「動かしてるウォースミスをどうにかしないと動き続けるぞ」
 アルギニウスの言葉にみんなは捜すが、それらしい姿は見当たらない。
 クリス達グルーディオの同盟は動き出しているらしく、ストライダーを駆使して捜し始めていた。
 キリアは鋭敏になっている感覚を駆使して、意識を外に集中している。すると、ゴーレムと連動する意思をいくつか見ることが出来る。それを辿ると、茂みの中のある場所を特定する事が出来た。
 少女の指差す方向を見て、アルギニウスが仲間に取り囲まれている男性のウォースミスを発見すると、近くの弓職に指示を出した。彼は先端に筒を付けて油を仕込ませると、火を付けてそこに解き放つ。
 途端に火の手が上がり、茂みが燃え上がった。彼らを火が直撃する事はなかったが、目印になってストライダーの部隊がそこに向かっていく。
 程なくしてゴーレムは崩れた後消えたが、それが突破口となってしまった。そこから進入されると、みんなも配置について戦う事となる。
 メネウトはパンサーを召還すると、敵に向かわせていった。丁度クリス達も来ていて彼のパンサーも加勢していたのだ。
「先輩!」
「遅れをとるなよ!」
 二人は先頭切って走ると敵を倒していった。
 とは言え、戦争経験のない面々は苦戦していた。人殺しなど出来るはずもない……特にキリアは少しであるが震えていた。
「無理するでない。仲間を支援するのもまた戦いである」
 盟主はそう言うと、彼女をメイシェルとヘクテメリアの後方に移動させる。
 キリアは持てる力を使って、みんなに歌を謡うと支援していた。アルギニウスは凄い速さで敵を屠(ほふ)っていく。レイルースは倒さないにもしろ、相手の腱を切り武器を握れないようにしていたのだ。
 すると突然、敵後方から炎の塊が飛んできた。狭い中だったので避け切れない者も多数いた。無論敵の方でも何人か犠牲になるものがいた。
「ウワァァァァァ!!」
 阿鼻叫喚の中、直撃ではなかったものの炎を受けて転げ回る人物がいた。ヘクテメリアはその炎を払おうと風の魔法をぶつけて消し去ると、メイシェルが素早く最大限のヒールを施していた。
 鎧からは煙が出て男性は一瞬動きを止めていた。やがてゆっくりと起き上がると、迫ってきた敵を何人か倒しながら後方に戻ってきた。
「クソウ! ……敵味方関係ない奴らだ!」
 触れられないくらい熱い鎧にクリスのクランの人が水をかけて冷やすと、それを拭いながらダークエルフの男性は起き上がっていた。しかし、その足取りはおぼつかない。
「回復させなさい! まだ動くのは無理よ!」
 メイシェルがアルギニウスを制すると、更に後方に追いやった。ヘクテメリアが介抱すると、男性は玉の汗を流して余程無理していたのだろうか……彼女にもたれかかって来る。
 キリアは心配そうに彼を見るが、前方から大きな声がすると、そちらを向いた。
 不気味な召喚獣だった。ユラユラと浮かびながらそのいかつい姿を何体か晒していたのだ。
 それらは容赦なくグルーディオの兵士達を切り刻んでいった。
「ファントムサマナーの召喚獣だ! 魔法班は集中して倒せ!」
 しかし、その他にも敵方のパンサーとかがいて邪魔をしていた。キリアは階段を駆け上がり高いところに登ると、矢嵐の中意識を集中して召喚師を見つけ、矢を放って集中を解く。
 召喚獣の動きが鈍ると、易々と攻撃することが出来た。次々と召喚師を見つけては彼女は矢を放っていく。
 しかし、当ててはいなかった。だから、彼女の事を見つけた敵に、応戦させてしまう。矢が飛んできて慌てて城壁に隠れてやり過ごすと、みんなのところに戻ってきた。
「ご苦労であった」
 盟主は来た少女を労うと、彼女は荒い息をしていた。
 自分でもどうしてこんな事が出来るのか、わからなかった。鋭敏になっているとは言え、短時間であれだけの召喚師を見つけるのは至難の業。自分の中にある能力が開花しつつあるのか、エヴァの戦士となるべき力なのかそれはわからなかった。
 アルギニウスは体力が回復して再び敵に突進して行った。だが、寄せ集めとしてのアラがでてきたのか、闇雲に来る敵をグルーディオ軍は押しはじめていた。
 みんなが行けると思った矢先、事は起こった。再びシージーゴーレムが、城壁の外郭を破壊し始めた。驚いているみんなが見たのは更に驚愕すべき光景だった。
 敵方に援軍が来ていた。恐らく遠くで待機していたのであろう……誰にも分からなかったのだ。
「あいつ等ゴキブリみたいに出てきやがって……」
 アルギニウスは不快を表すように吐き捨てていた。
 キリアが再び召喚師を見つけるが、倒しに行った面々は次々と犠牲になってしまう。
 何とか魔法とかで応戦してゴーレムを破壊することに成功したものの、半壊した城壁と援軍を見て軍の士気が低くなってしまう。
 上層部はこちらも援軍を要請するべく、オーレンとディオンに早駆けを飛ばす。
 みんなは戦っていたものの、一時立て直すべく城内に避難していた。
 傷だらけの体を手当てして、水を飲む。
「まだ、酒が抜けない……」
 レイルースは頭を振ると、俺の方が酷いとクリスが顔を青くしていた。
「俺なんて三回も吐いたんだぞ。まったくお前等強すぎだ……」
「……の割には、先頭切って戦ってましたよね?」
「集中しないと、また吐きそうだったから……」
「安全が完全に確認されないところで、飲んでいるからだ。いつ何が起きてもおかしくないんだからな……配分わきまえろ」
 アルギニウスのきつい言葉にクリスは深い溜息をついている。
「エルモアの雰囲気に飲まれてしまうとは……俺も修行が足りん……」
 一方そのエルモアの軍勢は平気な顔をしている。
 ウォースミス達は消耗品の製作に余念がなく、魔力を分け与えるリチャージを受けながら作業をしていた。
 キリアはメイシェルと一緒に他の人達と薬草を持ってきたりして手伝っている。
 そして、調合した物をみんなに渡すと非常時に使うように伝えていた。
 大方の準備が整った頃にはみんなの士気は多少回復したらしく、また戦いは始まった。
 しかし、先ほどのようには行かなくなっていた。最初のはこちらの様子を窺うものだったらしく、本陣らしき物が出てきて攻撃されると兵士達はどんどん倒されていったのだ。
「あいつら、戦争なれしてる……軍として活躍してたのが多そうだな……」
 アルギニウスの分析に盟主も頷いていた。
「うむ……私もそう感じていた。そして、統率はさっきよりもしっかりしている」
 状況は城外で押し問答をしているものの、憔悴は激しかった。殆ど気力で耐えている状態……
 時間は深夜を回っていた。城主のクランがいないこともあり、更に苦戦を強いられる。
「……援軍はまだか……」
 クリスの言葉がみんなの心境を表していた。援軍さえ来てくれれば……段々焦りが生じて来ていた。
 アルギニウスは一つの確信を得ていた。実際確認はしていない。これは経験に基づく勘でしかなかった。
 
……援軍を要請しに行った者は殺されている……







今回はここまでです。読んでくださってありがとうございました~^^
どこで切ろうかなと考えていて、苦渋の決断でした^^;
長すぎると読むの大変ですし、もっと長くても大変ですし……ww
小出し小出しにしていったらいいのかな~とか思っていました。

この前、「小説のファンです^^」と言われて、やる気倍増ですww
適度に頑張らねばww

次回は激戦の中起こった悲しい事……です。
みんなどうなる?!@@;

[edit]

小説です~~~~ょ・w・ 

夜のグルーディオ城





 開放してくれた城の詰寄り所のベッドで、みんなは睡眠を貪っていた。イビキや寝言がウルサイ中、突然アルギニウスは目を見開いた。
 ……微かに音がした。何かの音が……普通の状態じゃありえないと感じ、外に意識を集中したのだ。
 彼の耳と意識はイビキや寝言を消し去り、外の音だけを拾っていた。木立が少し揺れる音……虫の声……
 男性は起き上がると、武器を手にして集中しやすいように窓を開けた。聞き耳を立てるが、それらの音しかしてこない。
 だが、彼らダークエルフが感じられる独特の気配を察知していた。本能が危険だと伝えている。
 頼みの嗅覚は風上らしく感じることが出来ない。視覚も彼の視界であっても何もわからない……
 ――この圧迫感は――覚えがある……
 昔、戦争に明け暮れていた時に雑木林に逃げ込んだ時、逆に待ち伏せされて戦った経緯がある。仲間は次々と倒されたが、自分は感覚を最大にして戦い抜いた事があるのだ。
 危ういところを仲間の救援が来たときには、味方は誰一人生きていない事があった。
 その時の感覚と類似していた。
 敵がいる……それも大勢……
「みんな起きろ! 敵襲だ!!」
  アルギニウスが叫ぶのと、微かに遠くで悲鳴が上がったのが同時だった。
 人間には聞こえないほど小さなものだったが、何人かのダークエルフが起き上がった。
「何だ! さっきの悲鳴は……!」
 スペルハウラーの男性が異様な雰囲気を察していた。
「わからん。他の奴も起してくれ……俺は様子を見に行く……」
「わかった」
 アルギニウスの危険を伝える言葉で、何人かの人が何事かと思っていたのだが、酒をしこたま飲んでいた為にまだ起き上がれない者も大勢いた。
 アルギニウスは鎧を素早く召喚すると、詰寄り所を飛び出していた。
 隣の女性の詰寄り所のほうから、一人の人物が裸足のまま飛び出してくるのが見えた。薄着のままのその人物は武器を持っている。
 その姿には見覚えがあった。
「キリア!」
「アルギニウスさん!」
 少女は駆け寄ると不安な顔を晒している。
「何か大勢の不穏な音が……」
「音?」
「はい、悪意を持って、この城全体を覆う感じで……」
「俺もまだ確認が取れないが、大勢の敵を感じた……それと何かの悲鳴を……」
「悲鳴なら私も感じました。そこに意識を向けると、もう……」
「死んでたか……とりあえず俺は確認しに行く。お前はとりあえず女達を起して、戦闘になるかもしれないから準備しておいてくれ……」
 それから彼女の服を見ると、鼻で笑った。
「胸透けてるぞ……」
「え?」
 見れば、キャミソールから小さな胸の形が浮かび上がってタイマツの加減でシルエットが見えていたのだ。
「アルギニウスさんのエッチー!」
 少女は慌てて隠して抗議するが、男性は冷やかな顔をしていた。
「お前みたいな発育不全、マジマジ見るわけないじゃないか。他のやつが変な気起さないうちに言っておいたほうが、懸命だと思っただけだ」
 それに彼女は赤くなって一様お礼を言う。
「最初に指摘してくれて、ありがとうございます」
「礼を言う暇があるなら、とっとと防具着て来い」
 男性はとりあえず確認してくる。と、走って行ってしまった。
 アルギニウスは城壁の兵士のところに行って確認をしてみた。しかし、その人は人間だった為に悲鳴など聞いていないというのだ。
 一緒に歩哨に当たっていたメイジに照明弾を撃ってみろと言うと、男性は炎の呪文を唱えて天空高く打ち上げていた。
 炎はゆっくりと降りてきて、地上の風景を映し出している。アルギニウスは意識を城壁の茂み辺りに集中させると何か動いた気配があったのだ。
 もう一度照明弾を撃たせると、望遠鏡を取り出した兵士は、アルギニウスよりも先に声を上げていた。裸眼で注意深く見たダークエルフの男性は、愕然となる。

――――そこには何百という部隊がいた――――


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