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小説ぅぅぅぅ~~~~! 




 その話を聞いてアルギニウス以外は涙を流していた。女性は涙を拭くと、微笑んでいた。
「その後、私は彼の村に遺体が引き取られるまでずっと一緒にいたわ。私はエルフだからダークエルフ村には入れないから――もう……お墓参りには行けないわね……」
 微笑とは言っても自虐的な物であるが……
「遺体と一緒に……」
 レイルースが不気味に思っていると、アルギニウスは鼻で笑っていた。
「別に死んで動かない奴の側にいたって、何が変わるものではないがな……同情して欲しいだけなら、昔話などすんなよ」
 皮肉の入った言葉に、女性は純粋な言葉を返している。
「いえ……私と同じ思いをして欲しくないと思っただけよ。仲間を喪(うしな)って辛い思いをして欲しくないって……」
「俺はこいつらを仲間だとは思っていないがな……使えればいいと思っている……」
 みんなはその言葉に嫌悪感を示したが、女性は少し声を出して笑っていた。
「そうかしら? 貴方は意地を張っているだけで、彼らを仲間だと思っているじゃない?」
「何だと……?」
「瞳が優しいもの……目つきは少し鋭いけどね……」
「アルギニウスさんは優しいですよ」
 そこにキリアが加わってくると、男性は顔を引きつらせていた。
「テメエ……俺を優しいって言ったら殴るぞ」
「え? だって、この前猫さん可愛がっていたじゃないですか。一緒にご飯あげて食べていたじゃないですか」
「あ……あれは……まとわり付いてきて面倒だから適当に……」
「でも、その後に遊んであげたじゃないですか」
「あれは、じゃれてきたから適当にあしらっていただけだ」
「でも、その割には楽しそうに……」
 そこでキリアは頭を殴られてしまった。痛いと連呼する少女に、メイシェルはよしよしと頭を撫ぜていたのだ。
「俺はあしらっていただけだからな……!」
「素直じゃないんだから……」
 メネウトが冷やかすと彼は怒りを露にしていた。
「ウルセー! テメエらと付き合っていられるか!」
 とばかりに、食堂を飛び出して行ってしまった。
「……照れてるし……」
「表現べたなのよね~。あいつは……」
 メイシェルは酒を口にすると、みんなは笑い始める。
「後で酒代請求しないとな」
 メネウトが過剰請求しようと薄ら笑いを浮かべている。
「まあ、褒められるのが苦手なのかしら……」
 キエラは嬉しそうにしていた。
「彼もそうだったけどね……」
「素敵な方だったのですね。オルフェリウスさんは……」
 少女が痛みが治まってきたので彼女に向き直ると、微笑んでいた。
「ええ、ダークエルフにしては真面目な方だったわ。剣舞とか教えてくれたし……」
「剣舞?」
「ダークエルフは修行の際に、剣舞を取り入れているの。だから、どの職でも多少の剣舞を踊る事が出来るわ。私の場合は、みんなから教わっていたから踊る事が出来るの。まあ、エルフから見たら滑稽(こっけい)に映るでしょうけどね……忌み嫌う種族から教わったと……」
「見てみたいです。剣舞……」
 その言葉に女性は少し恥ずかしそうにしていた。
「え……人に見せられるほどの物では……」
「あたしも見たい。あいつは殆ど見せてくれないし……」
 メイシェルが目を輝かせている。
「俺も見たい~!」
 メネウトが、好奇心旺盛に喰いついた。
「エルフのは初めてだ」
 レイルースは、頷きながら彼女の言葉を待つ。
 みんなは口々に見たいと強くお願いすると、彼女は渋々了解をしていた。
「ここだと他の人の迷惑がかかるから、人のいないところでしましょう……」
 食事が終わった後、女性は踊りやすい若草色の上着と膝くらいのスカートの服装に着替えてギランの一角に来ていた。そこは余り人のいない区域で、荘園管理人が暇そうにアクビをしていた。
 みんなは適当なところに座ると、女性はみんなと向き合っている。
「ダークエルフから見たら、下手な方だって揶揄(やゆ)されてるから、見てて笑わないでね……」
 キエラは剣もなく踊り始めていた。その動きは美しく優雅に舞っていた。
 そして、途中からナイトメアソードを召喚すると、その顔つきは一変して厳しいものとなる。そして、動きも激しく戦っているようになっていったのだ。
 動きには一寸の隙もなく、機敏で美しい……しなやかな体なのか、動きも軽やかで剣先まで美しく整っている。
 みんなはその踊りを、食い入るように見ていた。荘園管理人はアクビを忘れたかのように、その動きに引き込まれていたのだ。
 剣を合わせて打ち鳴らすと、美しい音が辺りに響いていた。軽やかに舞うと何度も宙返りをして剣を突き出している。
 レイルースは、昔見たダークエルフの剣舞より彼女の技術の高さに驚いていると、背後に気配を感じて振り向いていた。そこには、剣を打ち鳴らしていた音を聞きつけて何事かと見に来た人が何人もいる。皆、口々に凄いなと呟いていた。
 そんなのを感じていたのだろうか……早めに踊りを終了させると、多少息を切らせてみんなのところに来ていた。
「凄いです! こんなに素敵な踊り始めて見ました」
 キリアが感激したように拍手をして喜んでいると、何人かの観客が賛同して拍手を送っていた。
「元々、神の奉納の為の踊りだから……そこから実戦に使えるように発達したのよ」
 汗を拭うと、微笑んでいる。
 剣を召還して一息ついていると、人々は満足したかのようにいなくなって静かになっていた。しかし、一人の人物だけはその場に留まっている。その人は青年のダークエルフだった。
 彼は俯いて、腰に差してある二刀の柄を握ったまま、何か言いたそうにしていた。
「ブレードダンサーの人かしら?」
 キエラは普通に話しかけると、彼は言いずらそうにモゴモゴと口を動かしている。
「大丈夫、私はダークエルフのクランに所属しているから、私と接触して貴方と同じ種族の人に見られても邪見にされないわよ」
 それを聞くと、青年はホッとしたような顔になって彼女に向き直っていた。そして、一緒に踊って欲しいと頼むと彼女は快く了解している。
「私なんかで良かったら……」
 微笑む女性に彼は少し照れながら俯いていた。
 二人は剣を構えると最初はゆっくりと踊り始めたのだ。女性の方はその踊りにリズムがあるのに対して、青年のは少したどたどしかった。
 すると、彼女は青年に合わせてくれている。その心遣いに驚いていたが、段々と照れが抜けて行き青年は毅然と踊ることが出来るようになっていた。
 それに満足した女性は軽やかに舞っている。青年は女性が本当にエルフかと思うようになっていた。剣舞を踊れるエルフなどお目にかかったことがなかったから……
 無論、他にもいるかと言う問いには皆無であろうと返ってくるだろう――二種族の問題は生まれた時から刷り込まれることとなる。そのお互いの隔たりを解くには余程の力が必要だろう……彼女はダークエルフであろうと同じ様に接していたから、回りに受け入れられた。それは物凄い事だった。
 暫く踊っていた二人は舞を終わらせていた。青年は息を荒くしていたが、爽やかな顔をしていた。
「踊る事が出来て良かった」
 青年はダークエルフ流の挨拶をすると、女性も息を整えた後軽く挨拶を交わしている。
「肌の白いダークエルフだと思えばいいわよ。楽しかったわ、ありがとう……」
 彼女は微笑んでいた。
 暫く話していた二人だったが、やがて青年は去っていった。
「いいブレードダンサーになってくれるといいわね……」
 キエラの言葉に少女は答えていた。
「そうですね……」
 みんなは頷いていたのであった。
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小説更新~~! 




 ドラゴンバレーを後にした一行はギランの食堂で一休みをしていた。
 その前に、キエラはギランに付くなり慌てて人に見えないところで着替え始めていた。何でも、青狼は目立つので街中では余り着たくないのだそうだ。
 若葉色のワンピースに着替えた女性は一息入れようと食堂に向かっていたという次第。
 まあ、メネウトが生足を見られないとうことで抗議して、メイシェルにどつかれたのは言うまでもないが――
 食堂でジュースを片手に、女性は語りだしていた。
「彼はブレードダンサーだったわ……入ったばかりの私の面倒を見てくれて、ソードシンガーにしてくれた。その後も、ダンスと歌は同じだからって歌の間隔を教えてくれたり、ペアを組んでよく狩りに連れて行ってくれた。色々なことを教えてくれたわ……」
「お前と同じか……」
 メネウトは酒を飲みながら隣のアルギニウスを見ると、男性は関係ないという風に酒を口に運んでいた。メイシェルも酒だったが、他二人はジュースになっている。
 テーブルに並べられた食事を適当につまみながら、更に話は続く……
「だけど……盟主がドラゴンバレーで血盟レベルを上げる為、ブラッディークイーンから『血の証』を手に入れようとしたときに、大量の敵をリンクしてしまって……」
 彼女はその時の状況を殊更に話していたのだ。
 キエラがソードシンガーになって、まだ歌うたいとしては未熟だったときの事だった。
 彼女のクランは兄弟で盟主・副盟主をしている所で、同盟主であるボスの命令で株分けされ、結成されたクランであった。オルフェリウスはボスの命令でやってきて彼から最も信頼されている人物だ。
 そこで彼女は最初は邪見にされていたものの、種族に隔たりなく接する姿を見てこの時には仲間として認められている。
 その日は快晴だった。普通に狩れば終わるはずだったが、その日集まったのはこの前打ち合わせした人数より少なかった。
「ボスのほうで数人借り出されてちゃどうにもならないな……」
「他のシマで喧嘩した奴の尻拭いとは、仕方ない……」
 オルフェリウスは天を仰いでいた。昼過ぎているとはいえ、ダークエルフにはちと強い光が目に染みる。
 高レベルの者を取られたので中止にしようとしたが、盟主はどうしてもと言って聞かなかった。
「旗付くんだぜ。大手を振って歩けるものだ」
「でも、旗付けてても、デザイン悪いの嫌だな……」
「キエラいいの考えておいてくれよ」
「うん」
 そこにはレベルの満たないキエラがいた。一様ソードシンガーになっていて、ソングオブウィンドまで憶えていたので、闇魔法防御のインヴォケーションを歌えるということで参加させられたのだ。
「じゃあ行くか」
 盟主の言葉に一同重い腰を上げた。そして、ドラゴンバレーの奥地に赴く。
 途中来る敵を倒していくと、不気味な頭を持つ女性体のモンスターがいたのだ。
「あれだ!」
 意気揚々と駆け寄る盟主だったが、補助が切れると止められた。
「何だよ! 近くにいるんだぞ」
「落ち着け……闇雲に突っ込んだところでどうにもならんだろう……」
「血の証を得られれば、ここからすぐ去れば良いだろう? 俺は早く血盟のレベルを上げたいんだ!」
 魔力の回復かそれをおして進むかという話は平行線をたどったが、盟主の願いにより回復を待たずして先に進むことにした。
 補助を行うと、オルフェリウスが剣舞を踊った。続いてキエラがインヴォケーションを軽やかに歌う。
「次は二曲目で間を置くから、その間に入れれば魔力の消費を押さえられる」
「うん、分かった」
「行くぞ!」
 盟主の言葉にみんなは行動を起こす。トレジャーハンターがルアーというスキルでブラッディークィーンだけを釣ってきてみんなで倒していた。
 しかし、一匹で出るかも分からない代物なので何匹も連れてこなくてはならない。そうしているうちにトレジャーハンターの魔力が尽きてしまった。しかも、敵の真っ只中で――
「やばい!」
 と思ったのもつかの間、群れは一斉にトレジャーハンターの男性に襲い掛かってくる。何とかシリエンナイトである盟主がヘイトオーラを使ってモンスターの目標を変えたのは良かったが、男性は瀕死の状態だった。
「撤退するか?」
 オルフェウスの言葉に対応できるだろうと言った盟主の言葉が、キエラにある不安を湧き上がらせていた。
「そうだよ! ここから離れないと!」
「大丈夫だよキエラ、ほら段々モンスターを倒して行ってるじゃないか」
 確かに盟主の言うとおり、リンクしたモンスターたちは少なくなっていた。
「でも! 感じるの! この後嫌なことが起こるって!」
 戦いながら彼女は不安を隠しきれない。
「キエラの言うとおりだ。ここは危ないぞ」
 オルフェリウスは横目で、瀕死の状態を脱したクラン員を見た。彼はふらつきながら立ち上がると、息を整えている。
「あいつも連戦は無理なはずだ。治療して立ち上がれても完全じゃない」
「俺はこの日をどれだけ待ちわびたと思ってるんだ! 旗を持てるということは盟主にとって誉れなんだぞ。こんなチャンスないのに、俺の念願の……」
「念願も何もあんたが無謀な事をすれば、俺達にも危険が伴うんだぞ! クラン員のいない盟主が旗取ったところで何の意味がある! 一時退け! まだ機会はある!」
「嫌だね! これを逃したら、ボスにまたこき使われる日々が待ってるんだぞ! 俺は今日に賭けてたんだ!」
 その時、ファントムレンジャーの彼の弟が震える声で何かを呟く。
「囲まれた」
 その声でみんなはようやく事の重大さに気が付いたのだ。
「あんたそれでもクランを纏(まと)める盟主か!」
 オルフェリウスが吐き捨てるように、盟主に言葉をぶつけていた。
「倒せばいいんだろ?」
「ヒーラー陣魔力あるか?」
「彼に殆ど使ってしまって……」
 シリエンエルダーの女性が呟いていた。彼女は参加するはずだった女性の代わりとして、ここに来ている。しかし、その女性よりもスキルのレベルが低かった。当然魔力も余りない。
「ここから敵のいないところに一時離れる。キエラ……二曲歌えるか?」
「大丈夫、さっきと同じようにしてくれれば、ソングオブウィンド入れられる」
「了解」
 主導権は完全にオルフェリウスが持っていた。元々フィールドで戦うのを得意としていた節がある。その経験は、彼のほうが勝っていた。
 みんなは徐々に後退しながら戦っていたが、敵は減るどころか、復活して増えていく始末だ。
 キエラに疲労の色が見えていた。体中に浅いながらも切り傷を負っている。それはみんな同じだった。荒い息をして自分の仕事をこなしていたのだ。
 ヒールの替わりに体力回復ポーションを使っていたが、それも尽きかけてしまい焦りを感じていた。
「パーティーリコールがあれば……」
 ふと、人間の仲間からそんな言葉が聞こえてくる。
 パーティーリコールはパーティーを近くの町まで瞬間移動できるスキルでエルダーのみが取得できる。エルダー……エルフしか持てないそのスキルをどうしてこのクランから要求する事が出来ようか――ダークエルフが殆どで構成されているこのクランで……
 後退していると、前方に石の橋が見えてきた。そこまで行けば対岸は開けた場所が待っている。
 問題は……増えすぎたモンスターに対抗できるまでの力がみんなに残っているかどうかだ……
 どう考えてもみな憔悴しきっていた。シリエルの女性は魔力を回復させてもすぐにヒールをしなくてはならずリチャージ分にまわす余裕は無かった。プロフィットの男性はツールをしたりして負担をなくすために精一杯だし、アタッカー達も苦戦を強いられていた。
「やばい! ヘイト分の魔力なくなってきそうだ!」
 盟主の言葉にみんなは更に焦る。
「落ち着け! このヘイト分終わったら、できるだけツールしてから橋まで走れ! 走ってるうちに少しくらい回復するだろう……それから立て直せば良い!」
 オルフェリウスの言葉を一同かみ締めていた。
 そして、一同は盟主のヘイトの合図で一斉に走り出した。その前にギリギリの魔力を消耗してツールをかけている。この様子なら橋まで持つかと言うところで、一人の人物が倒れてしまう。
「俺に構わず逃げろ!」
 トレジャーハンターの男性だった。傷を負ってから随分無理をしていたのだろう……殆ど動けるような様子はない。
「しっかり!」
 キエラが持ち上げようとすると、他の人も手伝っていた。しかし、足取りは重く徐々にモンスターたちの距離は縮まって行く。
「いい――俺を置いていけ……頼む……」
「駄目だよ! 置いていけない!」
 キエラの言葉とは反対に盟主は薄情だった。
「分かった」
「盟主!」
 キエラが抗議をしようとした矢先、みんなの前に立ちはだかる影があった。
「俺が囮になる……だから、その隙に逃げろ」
「オルフェリウス!」
「お前! いいのかよ!」
 さすがに彼には、ボスの方から下ったというだけあって気にかけている。
「いいから行け!」
 敵の方に走り出そうとした瞬間、腕が急に重たくなった。
「キエラ!」
 そこを見ると、エルフの少女がしがみ付いていたのだ。
「離せ!」
「ヤダ! オルフェリウスが囮になるなんて……みんなで一緒に帰ろう! お願い! 残らないで……!」
「誰かが肉壁になって守らなければ、全滅するんだぞ!」
「後退しながら行けばいいじゃない!」
「それが今は通用しなくなってるんだ!」
 必死で剥がそうとするのを彼女は渾身の力で止めていた。とは言っても、体力も余りないのでそんなには強くないが……
 剥がそうと躍起になっていると、彼女の瞳から涙が零れていた。
「いなくなったら、私この後どうすればいいの? ずっと鍛えてくれたじゃない! 一人前になるまで……」
 それを見ると、彼は彼女の頭に手を置いて優しく撫ぜていた。
「お前はもう一人でやっていける。それだけの技術は与えたはずだ。後はお前がそれを磨け――本当はもっと教えたいこと沢山あったんだがな……ここまでになるかもしれない……」
「オルフェリウス……死なないで……お願い……」
「俺を勝手に死ぬ前提にするな――態勢整ったら俺を回収してくれ……」
 だが、誰が見てもそれは叶えられそうにないかもしれない……助かるのは神の奇跡でもない限り無理だろう……
 彼は一瞬彼女を見て悲しい表情を向けた後、決意を固めた瞳を盟主に向けていた。絶対みんなを助けろとその目が言っていた。
 盟主は嫌がるキエラを無理矢理引き剥がすと、彼女は手を必死にしがみ付いていた男性に伸ばしている。
「嫌だ! オルフェリウス! 嫌だ――――――――――!!」
「お前まで撒き沿いになるぞ!」
 盟主の言葉に彼女は悲鳴にも似た声で彼の名を呼び続けている。
「私も一緒に戦う! お願い離して! 私もオルフェリウスと戦う!」
 盟主と彼女の悲鳴にも似た声がドラゴンバレーに響き渡る。相変わらずオルフェリウスは立ち止まったままだ。そして、彼女の方を見て何かを言った後、彼は微笑を浮かべていた。
 彼女には分かっていた。もう、この人と会うことはないだろうと……もう二度と手合わせも出来ないだろうし、一緒に剣舞を踊る事もないだろう――――

………お前は俺の分まで生きてくれ………

 微かに聞こえた言葉を頭の中で反芻していた。これから起こる悲しい結末を彼女は感じていた。手を伸ばしても引き剥がされてしまった手は虚空を切り、段々離されてしまう。
 涙で周りは見えなくなっていたのに、男性だけはなぜか見ることが出来た。敵の方に走っていく男性の姿を見ながら、彼女は何度も彼の名前を叫んでいた。



*この先は流血や結構悲惨な状態になっています。
苦手と言う方は読まないでくださいませ><
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小説更新です~ 

さてはて……
注意書きでも・w・

ちょっと流血とか痛い表現があるので、ちょっと隠させてもらいました。
大丈夫だよ~と言う方はこのまま続きを読んでくださいませ。
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小説更新であります 




「助太刀必要?」
 みんなは敵の後ろから聞こえてきた声に驚いていたが、姿の見えない人物に助けを求めていた。
 スピリットショットの音がみんなの耳に入ってくると、その人物は凛とした声でこう言っている。
「ちょっと敵が逃げても追わないでくれる? 戻ってくるまでの間残っている敵を倒すから……」
 それから、耳をちょっと塞いでと注意を促していたのだ。
 五重のエネルギーが、反発しながら膨れ上がっていくのをキリアは感じていた。この感じは憶えている……ヘクテメリアが襲撃を受けたときにアルギニウス達が受けたあの――――
「ソードシンフォニー!」
 キリアの声の刹那――! 暴発したエネルギーはモンスターたちに襲い掛かっていた。みんなはその不協和音に耳を塞ぐと、ビリビリと体に伝わってきていた。
 しかし、調節してくれたらしくみんなにはそんなに影響はなかったみたいだ。しかし、大半のモンスターは恐怖心から逃げ出していた。
 次には攻撃を増強するソウルショットの赤い光が束になってモンスターを打ち負かしていた。途端に何体ものモンスターが地面に伏っする。
 うっすらと白い聖なる光を纏っていた赤い槍だった。その人物の持つ槍は、ドワーフのムクハなら見ただけで『ランシア』と答えることが出来るだろう……
 段々と倒していくうちに対面の助太刀してくれている人物が明らかになっていった。
 青く美しい鎧に象牙色の肌、胸の膨らみに黄金に光る長い髪に、優しい青い瞳に長い耳……
「キエラさん!」
 キリアが声をかけると、その人物は驚いたようにみんなを見ていたのだ。
「あら? 貴方達だったの?」
 みんなは声を上げて知り合いのエルフの女性を見る。
「奇遇ですね……」
 レイルースは攻撃を止めていると、彼女は促していた。
「これ倒した後、逃げたのが戻ってくるわよ。ソードシンフォニーは一時的に恐怖を与えて逃げるように仕向けるだけだから……」
 それを聞くと、みんな慌てたように攻撃していた。
 しかし、彼女の助けもあって後半は楽に倒せるようになる。それから総ての敵を倒し終わると、彼女の先導で安全な場所まで来る。
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小説更新なりけり 



 数日後、ウルガオフはアデンに旅立っていった。それまでは毎日のように酒を飲み交わしていた面々だったが、彼が居なくなるとふと気が抜けたように静かに過ごしている。
 彼が旅立つ時にはみんな家族のように思いながら見送っていた。抱き合い、泣き合い、どつかれ合い……最後のは、胸に顔を埋めようとしたウルガオフをヘクテメリアが殴ったからであるが、みんな楽しく彼を送ってくれた。
 そして、更に数日経った時、アルギニウスは傷の手当てを終わらせていた。殆ど傷が無くなってきたので消毒だけを済ませている。
「おっ、結構治り早いな……」
 後ろからメネウトがその傷を見て薄ら笑いを浮かべていた。
「ウルサイ……」
 そして、その場から手が伸びてきたのをダークエルフの男性は気配を察知し、その手を捻り上げる。
「イテテテテテテ!!!!」
 それから手を捻ったまま床に押し付けると、大層不機嫌にしていた。
「また、耳触ろうとしていただろう…?」
「してない、してない」
 うつ伏せにされて、背中に腕を捻られ身動きが取れなかった。
「嘘を付け! 鏡にちゃんと映っていたんだからな……」
 それを聞くと、すぐにごめんなさい~~!! とギブアップの声が上がる。
「アルギニウスさん何しているんですか……!」
 キリアが薬草をメイシェルと一緒に採って来て帰ってきたところに、この光景が広がっていた。
「元はと言えば、テメエが耳に噛み付いたからじゃないか! お蔭で俺は暫く外歩けなかったんだからな! 分かってんのか!」
 彼の耳には傷を診る直前まで、包帯が着けられていた。酔ってキリアが噛んだ耳からは無数のうっ血と出血と傷が出来、包帯が白い為に暫く外を歩けなかったのだ。無論、狩りに行こうにも、モンスターに血の臭いを感ずかれてしまっては大変だという事で出られないでいた。
 彼の耳には、痛々しいかさぶたが無数に存在していた。怒り心頭で怒る男性に憶えてないキリアは、前に話を聞いた時に何度も謝罪していた。
「黙れ外道! 元はと言えば、あんたがキリアにあんなことしたんでしょうが! 倍返しならず倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍返しされとけばよかったのよ!」
 メイシェルが薬草採取の時に使ったナイフを片手に、今にも飛び掛りそうだ。
「俺は甘噛みだけだ!」
「何よ、やろうって言うの?」
「望むところだ! 俺は傷が治るまでここから出られなかったんだからな……久しぶりに腕がなるぜ」
 両者火花が散る中、二人は隙をうかがおうと睨みあっていた。
「だったら、今から狩りに行こうか?」
 ふと、裏庭から声が聞こえてくる。部屋に入ってきたのはレイルースだ。
「何か機会があったら、みんなでやりたいなと思ってたんだ。エルモア軍団は出かけてて居ないから、俺達だけで出来るクエストやってみない?」
 という事で、ギランに来た面々は冒険者情報事務所に来て、何か出来そうなクエストはないかと探していたところ、掲示板にこんな張り紙がしてあった。
『ドラゴンバレーの歌の正体を突き止めてくれた者には、報酬を…』
「これって……噂のだろ?」
 メネウトは前から噂になっていたのを思い出していた。
「まだ、解明されてなかったのか……」
 アルギニウスは他の情報も見ながらアホらしいと呟いていた。
「大方、風か何かが歌に聞こえただけだろ?」
「そうじゃないらしいぞ……」
 すると、近くに居た冒険者らしい男性が呟いていた。他にも何人かがその話題に加わってくる。
 何でも、ギランでは浸透した噂らしく時々、女性の声で歌が聞こえてくるらしいのだ。その声は美しくそして悲しく、聴いたものは涙を出さずにはいられないらしいのだ。モンスターの類かとも考えられたが、それはありえないということになり、今のところそこで亡くなった幽霊説が有力らしい…
「で、噂に興味を持った金持ちもいるらしくてさ、報酬出すから調べて来いという物好きが出してる依頼が何件かでてるらしい……だが、結局分からずじまいさ……」
「ドラゴンバレーね……」
メイシェルは他のクエストも見ていて、何種類かピックアップしている。
「私達には無理な感じね……ドラゴンバレーの奥には行けないわよ」
「そうなんだ。結構いい値段だと思ったのに……」
メネウトはよく読んでみると、確かに自分達では無理だということに気が付いて落胆する。
「まあ奥に行って、みんなを危険に晒すわけにも行かないだろう? キリアちゃんの『ソングオブインヴォケーション』の性能を確かめに行くということで、行けばいいと思うけどな……」
 レイルースの言葉にメネウトは頷いていた。
「インヴォケーションは闇魔法攻撃防御だからな……ドラゴンバレーでは活用できるな」
「じゃあ、行きましょうか……」
 とみんなにいくつかのクエストを受けておくようにと言うと、各自準備に入った。
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